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ここから周囲構造の保冷等の保守・点検ができる点は将来、メリットとして評価されることとなろう。
−地震時のタンク強度は勿論LNG液面のスロッシング問題が無い。
−升槽底面等のヒーティングの必要がない。−升槽底面構造・強度が水圧に対して強い。
−配管はタンク頂部のドームを通しており、側部貫通箇所が無い。
−現地の土木工事(土地造成、基礎工事等)と並行してタンクを造船所で建造し、現地に海上運搬、設置するため全体工事期間が大幅に短縮される。
−IMOタイプBの安全性要求に合格する安全性を有するので最も厳しい条件での最大漏洩量に対する合理的な安全設計ができる。
5−3. 陸上SPB LNGタンク計画例
(1)浮体式の場合
?浮体式陸上用タンクの場合の概要
−波浪が比較的静穏か、防波堤等に囲まれてその影響が少ない場所に設置される。
−基本的に単一のタンク構造としLNG積付けバランス上の配慮を不要とする。
−升槽は一般に単殻構造とし、バラストの調整はなるべくしない。
−係留方式を喫水差、動揺、地震に対応可能なものとする。
−配管方式を喫水差、動揺に対応可能なものとする。
−浮体式としてIMOタイプBの安全性要求に合格する高い安全対策をとる。
?浮体式SPB LNGタンク計画例
浮体式SPB LNGタンク概念図例を図10に示す。本方式ではIMOタイプRの安全性要求をべースに、喫水制限、浮体安定性、係留外力、地震加重・変位を考慮して計画する。
なお、地震については、SPBタンクは元々動揺の激しい船舶用のタンクであるので地震の加速度による力および液のスロッシングに対しても問題ない。
(2)着底式の場合
?着底式タンクの場合の概要
−岸壁、防波堤等に囲まれた陸上または埋立地内に設置される(図11)。タンク周囲は乾式でも埋込式でもよいが必要に応じてコンクリートなどのバラストにより異常時水位に対する浮上り防止対策を施す。
−基本的に単一のタンク構造で外槽は単殼または二重殼構造とする。
?100,000、200,000、300,000m3各容積の場合の計画主要寸法例を表1に示す。
地震に強いことは前項の浮体式の場合にて述べた通りである。

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図10 浮体式SPB LNGタンク

Fig-10. Floating type SPB LNG tank

432-2.gif

図11 陸上SP BLNG受入・貯蔵設備

Fig-11. SPB LNG Large Storage(shore)

6. まとめ
IHI(石川島播磨重工業(株))は独自の国産LNG船技術SPB方式を開発し、この方式で2隻のLNG船(POLAR EAGLE,ARCTIC SUN)を1993年(平成5年)に完成した。それ以来両船はアラスカの航路に就航し、その厳しい海象条件にも拘らずLNGの定期輸送を順調に続けておりSPBの多くの優れた特徴が実証された。
SPB方式のタンクは、上甲板上に広いスペースがとれ、任意の大きさ・形状が可能、スロッシング問題が無い、構造・強度が強い、ボイルオフ率が小さい、検査・保守が容易等の特徴を同時に備えているのでLNG船のみならず洋上、陸上設備に幅広く適用可能であり、LNG関連の種々の設備コストの低減、工期の短縮等を計ることにより経済的にも貢献出来よう。
参考文献
(1)T.Fujitani,H.Asada,I.Nakachi,M.Mikio:Propo−sals for SPB Floating/Shore Storage,GASTECH 94 Proceedings,1994
(2)T.Fujitani:SPB LNG Carriers−Current Service and its future Prospect,LNG-11.1995

 

 

 

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